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接着剤の効率的な剥がし方とは?状況別・種類別のはがし方とトラブル対策法を解説

接着剤の効率的な剥がし方とは?状況別・種類別のはがし方とトラブル対策法を解説

瞬間接着剤などの強力な接着剤を使った時に、うっかり多く出しすぎて慌てたことはありませんか。接着剤を落とす時は時間との勝負です。付着してから対処法を調べていると、手遅れになってしまうかもしれません。

このコラムでは、接着剤の効率的な剥がし方を状況別、種類別にご紹介します。

基本的な接着剤の落とし方

接着剤の基本的な落とし方には、3通りの方法があります。それぞれの方法を詳しく解説します。

機械的剥離

機械的剥離とは、ドライバーやハンマーで力や衝撃を加えて剥がすことです。その他、切る・削る・引き剥がすことも、機械的剥離にあたります。プラスチックを接着する際に使うエポキシ樹脂系やウレタン樹脂系接着剤の場合、力を加えることで剥離できます。

また、シリコーン樹脂系接着剤はカッターナイフで切ったり、サンドペーパーで削りとったりするのが一般的な方法です。

化学的剥離

化学的剥離とは、化学薬品である剥がし液を使って剥がすことを指します。剥がし液には様々な種類がありますが、被着材や接着剤の種類によって使い分けることが大切です。

剥がし液は、アセトンやDMFなどのシアノ系や、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系などがあります。トルエンなどの有機溶剤はプラスチックを溶かしてしまうため、取り扱いには注意が必要です。

物理的剥離

物理的剥離とは、熱を使って接着剤を柔らかくさせたり、劣化させたりして剥がす方法です。物理的剥離には、以下の4通りのやり方があります。

・加熱法:ドライヤーなどで熱を加えることで、ホットメルト系の接着剤を剥がします。

・温水法:被着材に100度の耐熱性があり、エポキシ樹脂系の接着剤が使われている際に、熱湯で対象物を30〜60分ほど煮沸して剥がします。

・低温剥離法:エポキシ樹脂系や、ホットメルト系接着剤を使用している際に、対象物を-10度まで冷やし、急激な力を加えて剥がします。

・水浸漬法:水性接着剤が使用されている場合には、水に1~2日ほど浸けおき、接着剤が柔らかくなってきたら、へらなどを使用して剥がします。

接着剤が乾く前と乾いた後で剥がし方が異なる場合がある

接着剤が乾く前は固まっておらず柔らかいため、剥がし液で拭き取ったり、接着面を水やお湯で洗い流したりするだけで剥がすことができ、対処は比較的簡単です。

一方乾いた後の場合も、剥がし液を使うことが多いですが、接着剤が固まっているため手間がかかります。やすりでこすったり、ナイフで接着剤をそぎ取ったりしてから、剥がし液を使用します。

【状況別】接着剤の剥がし方

「どこについた接着材をとりたいのか」によって剥がし方は異なります。対処法を間違えると対象物が破損する恐れがあります。被着材ごとの対処法を覚えておきましょう。

手や指、皮膚についた場合

まずは40℃前後のお湯につけて揉んでみます。固まっていなければ、15分ほど浸けると柔らかくなって落とせます。

瞬間接着剤などのシアノ系接着剤は、アセトンを含む除光液を使って落とすことも可能です。除光液は100円ショップでも販売されているため、1つ家に用意しておくと良いでしょう。アセトンの使用は肌への負担がかかるため、敏感肌の方は注意してください。

溶剤・エポキシ系接着剤はお湯と石鹸で落とせます。水性接着剤は薬用アルコールやベンジンで拭いてから、石鹸と水で洗い流しましょう。

きれいに落としきることができなくても、肌のターンオーバーによって接着部分は自然にはがれていきます。皮膚についた時は、傷つけないように焦らずに落とすことが大切です。

衣類についた場合

衣類についた場合は、アセトンを使用する方法か、アイロンの熱で落とす方法があります。アセトンは、除光液ではなく原液を使用するのが良いでしょう。

充分に換気をし、しみ抜きをする時と同じように、綿棒やコットンにアセトンを含ませてトントンとたたいて落とします。この時こすってしまうと、溶けた接着剤が広がるので気をつけましょう。

耐熱性のない接着剤の場合は、アイロンの熱で落としてみてください。アイロンは60度ほどの低温に設定し、接着剤がついた箇所をガーゼで挟み、その上からアイロンをあてます。熱で接着材が溶けてガーゼにうつるので、ガーゼを交換しながら数回繰り返します。

衣類に接着剤がつくと落とすのが非常に難しく、衣類が色落ちしたり、傷んでしまう可能性もあります。接着剤を使用する時は、始めから汚れても良い服を着ておくこともポイントです。

プラスチックについた場合

除光液や剥がし液に含まれているアセトンは、プラスチックを溶かしてしまう恐れがあるため、使用はお薦めしません。プラスチックについた場合は、お湯に浸すか、サンドペーパーを使って落としましょう。

お湯に浸す方法の場合、プラスチックによっては高温で溶ける可能性もありますので、耐熱温度を確認してください。耐水性のない接着剤は、お湯で落とせます。

サンドペーパーを使用する時は、接着剤のついていない箇所にマスキングテープを貼り養生します。最初に目の粗いNo.1000のサンドペーパーで削り、次に目の細かいNo.2000のサンドペーパーで接着箇所が平らになるように削っていきましょう。

木材についた場合

アセトンを含む剥がし液を使用します。しかし、表面の風合いを損ねる可能性があるため、目立たないところで試し、表面に変化があるか確認してみましょう。剥がし液で落ちない場合は、サンドペーパーで削ってみるのもお薦めです。

金属についた場合

金属についた場合は傷がついてしまうため、サンドペーパーの使用はお薦めできません。アセトンやミネラルオイルが有効で、コットンに含ませてこすりながら落とします。剥がし液を使う場合は、接着剤のついたところに塗ってラップで覆い、3分後に拭き取りましょう。

ガラスについた場合

アセトンや剥がし液を使用してみましょう。15分ほどラップでパックしてみると落ちやすくなります。落ちない場合は、サンドペーパーを使って接着剤が薄くなるように削ってみてください。その後、もう一度アセトンや剥がし液を使います。

ガラスに傷がつくため、サンドペーパーを使用する際は接着剤の周りを養生するのを忘れないよう気をつけましょう。

【接着剤の種類別】接着剤の剥がし方

接着剤の剥がし方は、接着剤の種類によっても推奨される剥がし方が異なります。接着剤の種類ごとの剥がし方を見ていきましょう。

のり

のりは水溶性の接着剤のため、水に溶けます。乾いてしまう前に、水やお湯で洗いましょう。

水性・木工用接着剤

乾く前なら、水やお湯を含んだ布で拭き取ることで落とせます。乾いた後であれば、お湯に浸して柔らかくなってからこすって落とします。

合成ゴム系接着剤

乾く前は、ベンジンや塗料うすめ液、ラッカーシンナーを使用します。乾いた後なら、紙やすりなどでこすり落とします。ベンジンや塗料うすめ液で柔らかくしてからこすり落とす方法もあります。また、熱を加えたり衝撃を与えたりして落とす方法も有効です。

エポキシ樹脂系接着剤

固まる前であれば、アルコールや塗料うすめ液、ラッカーシンナーで拭き取る方法が良いでしょう。固まってしまうと、塗料うすめ液などの薬剤では落とすことができません。物理的に接着面にハンマーなどで衝撃を与えたり、加熱や燃焼させたりすることで取り除きます。

溶剤系・セメント系接着剤

固まる前なら、ベンジンや塗料うすめ液、ラッカーシンナーを試してみましょう。固まってしまったら、カッターやサンドペーパーで削って剥がします。この種類の接着剤は、プラスチックを溶かして接着剤の成分と一体化するため、一度固まってしまうと接着剤だけを取り除くことは難しく、剥がすのではなく削る作業をすることになります。

瞬間接着剤を使う際のトラブル対策

瞬間接着剤は強力な接着力が故に、取り扱いには注意が必要です。トラブルを未然に防ぐために、瞬間接着剤を使用する前はしっかりと準備をしておきましょう。

ポリエチレン製の手袋をする

瞬間接着剤を使用する際は、誤って手についてしまわないように、手袋をすると良いでしょう。軍手などの水分を吸収しやすい手袋は、瞬間接着剤が付着すると化学反応を起こして高温になり、やけどをする恐れがあります。そのため手袋を着用する際は、ポリエチレン製の手袋を使うようにしましょう。

ハンドクリームやワセリンで予防する

瞬間接着剤を使用する前に、ハンドクリームやワセリンで手を保護しておくのも有効です。あらかじめ手をコーティングしておくことで、接着剤の影響を少なくできます。接着面にクリームの油分が付着すると、接着しづらくなるため気を付けてください。

接着剤がついてしまったらすぐに落とす

接着剤がついたら、なるべく早めに落とすことが大切です。これまでご紹介した通り、接着剤が乾いて固まると、薬剤を使って落とさなければなりません。一方、乾く前であれば、水やお湯で落ちやすくなります。

まとめ

接着剤は速乾性があり、強力な接着力を持つ、非常に便利な道具です。一方で、誤ってくっつけてしまうと、人体に悪影響を及ぼす可能性のある薬剤を使って落とす必要が出てくることもあります。接着剤の剥がし方を事前に知っておくことで、誤ってしまった際も慌てずに素早く対処できるでしょう。

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