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物流の生産性向上に必要なことは?利益向上に繋がる5つのポイントを解説

物流の生産性向上に必要なことは?利益向上に繋がる5つのポイントを解説

労働人口が年々減っている日本では、人手不足が大きな問題となっています。そのため、各産業における生産性の向上は必須です。特に、オンラインショッピングが普及した近年では、物流産業における生産性の向上は急務と言えるでしょう。

今回のコラムでは、物流の生産性向上に必要なことや、利益向上に繋がるポイントなどを解説します。

そもそも生産性とは

ビジネスにおいて生産性とは、労働生産性のことを指します。生産性は投資に対して得られる成果の割合で、投資は従業員の人数や作業時間、保有する施設や機械を意味します。つまり労働生産性とは、労働者1人当たり、また1時間当たりにどれだけの成果を生み出せたのかを数値で表したものです。

生産性の向上とよく似た言葉で業務効率化があります。業務効率化とは、作業の無駄をなるべく減らして効率良く業務を進めることを意味します。生産性向上は生産性を高めて企業が効率よく利益を上げることを意味し、業務効率化は生産性向上のための手段と言えるでしょう。

低迷している日本の生産性

日本は、先進国の中で労働生産性が特に低いことで知られています。公益財団法人日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2022」によると、日本の1時間当たりの労働生産性はOECDに加盟する38カ国の中で27位に位置しています。

日本の労働生産性が低い理由には、デジタル化の遅れや長時間労働が挙げられます。アナログで処理している業務をデジタル化し、長時間労働する文化を改めなければ、国際的な競争力を高めることはできません。

人手を必要とするサービス業において労働生産性が低いと言われているため、物流業界においても同じことが言えます。

なぜ物流生産性を上げる必要があるのか

物流業界におけるドライバー不足は、周知の事実でしょう。人口減少や少子高齢化による人材不足が物流業界に与えるダメージは大きく、物流生産性の向上は急務と言えます。また、物流業界の長時間労働は従業員の定着率を下げてしまうため、更なる人材流出を引き起こす可能性があります。

物流は多くの業種にとってのライフラインです。オンラインショッピングが普及し、物流施設への需要が高まっている今、物流企業にとっては事業拡大のチャンスでしょう。物流生産性の向上により、金銭的にも時間的にも余裕が生まれ、新しいサービスを展開でき、企業の利益向上に繋がります。

物流の生産性が上がらない4つの原因

物流の生産性が上がらない原因は様々なことが考えられますが、ここでは代表的な4つの原因をご紹介します。

慢性的な人手不足

過酷な割に待遇が悪いというイメージが定着しているため、人材が集まりにくいのが現状です。さらに、物流業界の人手不足は高齢化が課題になっています。重量の大きな荷物の運搬は、高齢のドライバーだけの問題ではなく、女性が物流業界に進出する上での妨げにもなっています。

長時間の運転や低賃金での労働は、物流業界の人手不足を加速させているのです。労働環境の改善は人手不足解消に向けて非常に重要なポイントです。

単純な作業内容にモチベーションが低下

誰にでもできるような単純で事務的な作業内容は、従業員のモチベーションを低下させる一因となります。単純作業は従業員のスキルアップには繋がらず、賃金も上がりません。単純作業が多くなって長時間労働となると、従業員の不満を増幅させるでしょう。

一方で、事務的な作業がなくなることはないので、システムや機械を使って労働力を補っていくことが大切です。使命感やモチベーションが上がるようなやりがいのある仕事を従業員に任せることで、生産性向上に繋がります。

トラックの長い待機時間

物流業界において、トラックの待機時間問題は長年の課題となっています。トラックが一定の時間帯に集中してしまうことで、他のトラックの作業が終わるのをドライバーは長時間待機しなければなりません。

これは、ドライバーだけでなく、倉庫内で働く従業員にも負担のかかる問題です。待機するトラックがある間、従業員は休むことなく作業を続けなければなりません。トラックが多ければ多いほど、従業員の長時間労働や残業に繋がるでしょう。

個人向け宅配の需要が増加

オンラインショッピングは今や身近なものとなりました。国土交通省が発表している2022年の宅配便取扱個数は50億588万個で、前年度より1.1%の増加、2021年は前年度より2.4%の増加となっており、個人向け宅配の需要が増加していることが分かります。

個人向け宅配の需要が増加したことで、不在時の再配達が増えました。再配達の希望日時は、すぐに届けてもらうことを希望する人が多く、ドライバーにとって大きな負担となっています。また、同じ配達先に何度も訪問することは、生産性の低下を招く原因にもなります。

物流の生産性を上げる5つのポイント

物流業界における生産性の向上は、その他の業界にとってもメリットが大きいものです。では、物流の生産性を上げるために重要なことは何でしょうか。5つのポイントを解説します。

現状のMHを把握

まずは、物流の一連の作業における現状を正しく把握することが大切です。生産性を表す指標として、「MH(man-hour)」という指標があります。MHは人時生産性と呼ばれ、物流倉庫などで働く作業員の、1時間当たりの生産能力を表します。

例えば、1人で1時間にできる作業量が50個だとした場合、「50個/MH」として生産性を算出します。同じ生産性の作業において、全員の生産性が「40個/MH」となった時、生産性の低下に気づくことができます。

あるいは、誰か1人だけが「40個/MH」となった場合でも、体調の変化なのか、作業負荷に違いがあるのかなど、問題を絞って把握することが可能です。このように、MHを使って現状を把握することで、問題を可視化できます。

物流倉庫内のレイアウト改善

倉庫内のレイアウトを見直すことも、物流の生産性を上げるために重要です。広い倉庫内では、歩き回ることに時間を割いている場合もあるでしょう。出荷頻度の高い荷物を入口近くに配置するなど、荷物の置き場所を見直すと作業動線が短くなり、生産性が上がります。

また、荷物の定位置を決めることも生産性向上に効果的です。物が多い倉庫内で、必要な物がどこにあるか分からない状態だと、作業に時間がかかってしまいます。誰が見ても分かりやすく整理整頓することがポイントです。

アウトソーシングを活用する

物流の業務は広範囲に渡るため、自社だけで効率化するには労力や投資が必要です。特定の業務において、自社に専門性の高い人材がいないこともあります。そのため、一部の業務をアウトソーシングすることも有効です。

アウトソーシングで即戦力となる人材を活用することは、働き手不足が深刻な日本ではお薦めの手段です。

従業員の教育と人材の確保

従業員が間違わずに業務を進めることは、生産性の向上にはとても重要です。担当者が変わっても同じ精度で作業を進められることができるよう、マニュアルを整備して従業員の教育を行い、共通認識を持つようにしましょう。

また、ほとんどの従業員は、自分の苦手な部門に配属されるとモチベーションが下がってしまいます。各従業員の能力を正確に把握して、適材適所を意識した人材配置も必要です。

倉庫管理システムの導入

広い倉庫内の在庫数を把握するために、倉庫管理システムの導入を検討すると良いでしょう。大量の荷物を紙とペンを使って記録することは、正確で効率的な作業とは言えません。

倉庫管理システムの導入にはコストがかかり、従業員への説明が必要ですが、システムの導入で正確なデータをすぐに確認できるため、人件費削減や作業の効率化に繋がります。

物流の2024年問題とは

物流の2024年問題とは、働き方改革法案によってドライバーの時間外労働時間が年間960時間に規制される問題のことです。上限が課されることで、1人当たりの走行距離が短くなり、長距離輸送できなくなることが問題視されています。

さらに、1日に輸送する荷物の絶対量が減少するため企業の売上は落ち、ドライバーの賃金は下がることが懸念されています。ドライバーはすでに人手不足であるにもかかわらず、さらに離職率が上がる可能性があるのです。また、荷主側は物流コストの増大に悩まされるでしょう。

これらの問題に対処するためには、物流作業におけるデジタル化を進め、業務効率を上げることが急務と言えます。各企業が何も対策をとらなかった場合には、2024年には輸送能力が約14%不足し、その後も対策をしなければ、2030年には約34%不足すると言われています。

まとめ

物流企業は2024問題や人手不足など、多くの課題を抱えています。課題を解決するためには、経営者が現場を的確に理解し、生産性向上に向けて素早く意思決定していくことが大切です。

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