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地球温暖化や紛争など、人類は予想だにしないさまざまな危機に瀕しています。この危機を世界中の皆で乗り越えていくために掲げられた目標が「SDGs」です。ビジネスとの関わりも深いSDGsは、積極的に取り組むことで会社に多くのメリットをもたらします。
今回のコラムでは、SDGsの概要や会社が取り組むメリット、取り組み例などについて解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年の国連サミットにおいて掲げられた「持続可能な開発目標」のことです。人類が直面しているさまざまな危機に立ち向かうべく、150か国以上のリーダーが話し合い2030年までに達成すべき指針を策定しました。
SDGsは貧困や飢餓、気候変動などに対する17の目標とこれらを具体化した169のターゲットで構成されています。SDGsは、「誰一人取り残さない」持続可能な社会を目指して、日本のみならず世界中で取り組むべき目標です。
SDGsが生まれた背景
SDGsが生まれた背景には、2000年にスタートしたMDGs(Millennium Development Goals)の存在があります。MDGsとは、主に発展途上国が抱える問題に対して8つの目標を掲げたものです。
具体的に貧困や飢餓、致命的な病気の予防などさまざまな分野に対する対策を講じ、一定の成果は上げられたものの、日本を含めた先進国の課題も明らかになりました。世界中の問題に対する共通目標を掲げるために生まれたのが、SDGsです。
CSRとの違い
CSRとは、企業の社会的責任のことです。法令順守やボランティア活動など、ステークホルダーから信頼を得るための社会貢献活動がCSRにあたります。企業の成長など、企業利益を優先している点がポイントです。
CSRは本業とは別の活動を指す場合もあるのに対し、SDGsは企業活動の延長線上で社会貢献を行っていくことに重点を置いているのが大きな違いであるといえます。
会社がSDGsに取り組むメリット
会社がSDGsに積極的に取り組んでいくことで社会に貢献できるだけではなく、企業イメージ向上や新たにビジネスチャンスを得られやすくなるなど、会社にとって多くの恩恵を受けられます。会社がSDGsに取り組むべきメリットについて、詳しく解説します。
社会課題の解決に貢献
SDGsには、現代社会が抱えるさまざまな課題が掲げられています。それぞれの会社にしかできない発想や活動によって、社会課題解決に繋がる糸口が見出しやすくなるでしょう。また、各取り組みを行うことで、SDGs自体への理解を深めることになり、消費者ニーズを発見できるかもしれません。
企業イメージの向上
社会全体で解決すべき課題に率先して取り組んでいくことで、消費者やステークホルダーからの評価を得やすく、企業イメージの向上に繋がるでしょう。また、社会貢献に繋がる商品やサービスを選択する消費者が増えてきている中でも、SDGsへの積極的な取り組みは有益であるといえます。
企業イメージの向上は、採用活動にも影響を与えます。社会活動に対して熱心に取り組んでいる企業は好印象を得やすく、優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。働いている従業員もやりがいを感じ、モチベーションを高めることが期待できます。
新しいビジネスチャンスの創出
先述したように、世界の最重要課題と向き合う企業は信用を得やすく、国際的に評価を受けることに繋がります。企業理念に共感したステークホルダーからの投資など、金銭的なメリットもあり、新たな開発や取り組みなどのビジネスチャンスを掴む可能性が高まるでしょう。
また、中小企業の海外進出に寄与するなど、グローバルな活躍を支援することも期待できます。
企業・事業持続性の確保
逆にSDGsに取り組まないままでいると、どのような事態に陥ってしまうのでしょうか。優秀な人材や事業に必要な資金の確保が難しくなるばかりでなく、取引先からの信用も下がり事業を存続できなくなるかもしれません。
また、従業員のモチベーションも下がることで離職率も高まり、企業自体も存続の危機に瀕してしまう可能性も高まります。現在進行している事業存続や会社を守るためにも、SDGsへの積極的な取り組みはとても重要です。
会社がSDGsに取り組む際の注意点
会社がSDGsに取り組む際には、いくつか注意する点があります。会社の経営理念に合った無理のない目標設定を行うほか、「見せかけだけ」の取り組みにならないよう経営トップが率先して行うことが重要です。それぞれの注意点に関して詳しく解説します。
無理のない目標設定を行う
SDGsを長期的に行ってこそ、会社が得られるメリットは大きくなります。そのため、SDGsに取り組んで行く際は無理のない目標設定を行うことが重要です。目標を高く設定してしまうと、従業員への負担が大きくなり継続が困難になる可能性が高まります。
また、中途半端に行ってしまうことで会社のイメージが下がりかねません。自社に合ったSDGsの取り組みや目標を設定し、着実に進めていきましょう。
経営トップが率先して取り組む
会社でSDGsの取り組みを行う場合、実際には担当部署が率先して行う場合が多いでしょう。しかし、属人化してしまう可能性も高く、負担に感じてしまうかもしれません。そのため、経営トップがSDGsを良く理解しリーダーシップを取っていくことが重要です。
経営トップの人間が積極的な姿勢を示すことで、従業員のSDGsへの意識を高めることにも繋がり、会社が一体となって進められるでしょう。
SDGsウォッシュに注意する
SDGsウォッシュとは、SDGsに取り組んでいるように見せかけながら実態が伴っていない状態のことです。社会課題の認識や取り組みが不足しているなど5つの項目に分類されており、会社のSDGsの取り組みがこれらの項目に該当していないか確認を行います。
1つでも該当している場合、「見せかけだけ」の取り組みになってしまっている可能性が高いです。5つの項目を確認するのはもちろんですが、SDGsウォッシュを避ける方法に「SDGコンパス」という指標があります。
会社にSDGsを導入するのに役立つSDGコンパスとは
初めて会社にSDGsを導入する際は、分からないことも多くうまく進められないと感じるかもしれません。そのような場合、「SDGコンパス」を活用すると良いでしょう。SDGコンパスとは、SDGsを進めるためのステップを示す指標のことです。
先述したSDGsウォッシュを回避できるだけでなく、スムーズに取り組みを進められます。SDGコンパスの各ステップに関して、詳しく解説します。
SDGsを理解する
まず、社内でSDGsの内容理解を深めることが重要です。この際、SDGsの本質だけではなく、ビジネスへの活用方法に関しても学習する必要があります。しかし、自分たちだけではSDGsの全てを理解するのは難しいでしょう。
SDGsに関する書籍を読むだけではなく、セミナーへの参加や外部講師を招いた研修会の実施など、自社に合った学習方法を取り入れるのがお薦めです。
優先課題を決定する
SDGs17の目標と自社が抱える課題を照らし合わせ、優先して解決すべき課題を決定していきます。優先課題を見定めるため、まずはSDGsに関連する自社の課題を洗い出しましょう。
会社の理念や事業内容を踏まえ、注力すべきところなどを考慮し、優先課題を決定することが重要です。
目標を設定する
優先課題が決定したら、課題解決に向けた目標を設定していきます。目標設定を行う際、達成度が可視化しやすいよう評価指標も同時に設定するのがお薦めです。先述したように、目標は無理なく取り組みやすい範囲で設定するようにしましょう。
目標を設定した後、社内外への発信を行います。情報発信は従業員のモチベーション向上や外部からの評価を受けやすく、企業のイメージアップに繋がるでしょう。
経営へ統合する
次に、設定した目標を経営に組み込んでいきます。その際には、全従業員に対してSDGsに取り組むべき根拠やメリットを共有し、理解を深めてもらうことが重要です。目標達成に関する指示を出すだけでなく、従業員が主体的に行動できるよう促していきましょう。
また、最終的なゴールを達成するために、設定した目標の達成状況などを確認し、適宜修正や改善を行っていくことも重要です。
報告とコミュニケーションを行う
進捗状況を確認したら、社内のSDGs活動内容を外部に発信していきましょう。発信する方法は、報告書を作成する他、企業サイトやSNSの活用もお薦めです。活動内容の報告は、他企業への参考事例になるだけでなく、顧客や取引先などステークホルダーからの信頼関係を深めることに繋がります。
また、意見交換などコミュニケーションを活発化させ、取り組みを強化させるきっかけにもなりうるでしょう。
会社でできるSDGsの取り組み例
環境に配慮した取り組みや働きやすさに関連した取り組みなど、会社でできるSDGsにはさまざまなものがあります。大きな設備投資が必要なく実践できる取り組みもあるため、取り入れやすいものから始めていくのがお薦めです。
具体的なSDGsの取り組み例に関して、詳しく解説します。
ペーパーレス化を進める
会社の文書をクラウド化するなど、紙の消費量を減らしペーパーレス化に努めることは森林保護や廃棄物削減に繋がります。SDGsの目標の1つである陸の豊かさを守ることに貢献できるだけではなく、結果としてインク代やコピー用紙代などのコスト削減も可能になるでしょう。
省エネを意識する
限りある資源であるエネルギーを有効活用し、綺麗な地球環境を維持するため節電の意識を持つことも重要です。LED照明など省エネ商品に切り替えることや、空調の適切な温度設定、電気を付けっぱなしにしないなど様々な取り組みが挙げられます。
省エネを意識しても、会社から排出されるCO2をゼロにすることはできません。あくまでも削減努力を行うことが大前提ですが、更なる手段としてカーボンオフセットへの取り組みが挙げられます。
カーボンオフセットとは、削減不可能な温室効果ガスの排出に対して資金を投入し埋め合わせを行うことを指します。植林や森林保護の活動などが、カーボンオフセットの具体的な例です。
リサイクル可能な商品を使用する
プラスチック商品から紙製のものへ変更したり、マイボトルやマイ箸など繰り返し使用できるものを持参したりするなど、リサイクル可能なものや環境に配慮した商品を使用することで、プラスチック廃棄物を減らせます。
プラスチックを削減することで、海の環境保全に繋げることができ、SDGsに貢献できるでしょう。
働きやすいオフィス環境を整備する
働きやすいオフィス環境を整備することでも、SDGsに貢献できます。花や観葉植物などのグリーンを取り入れることや風の通り道を作ること、カフェの設置も効果的です。
従業員に快適な空間を提供することで、リラックス効果やモチベーション向上をもたらします。仕事がしやすい環境を整備することは、生産性を上げ企業の成長を助ける効果も期待できるでしょう。
防災対策を強化する
「住み続けるまちづくり」を達成するには、災害や緊急事態時の体制を整えて置くことが必要です。会社周辺のハザードマップを確認することや水や食料などの備蓄管理、定期的な避難訓練を実施するなど従業員の防災に対する意識を高めていきましょう。
また、災害時は出社が難しく業務がストップしてしまう可能性も高まります。リモートワークが行える環境を整備しておくことも、会社のリスクを最小限にするため取り組んでおくべき取り組みです。
評価体制を見直す
性別に関わらず仕事の能力を評価する体制を整えることも、「ジェンダー平等」を達成するために会社が行える取り組みの1つです。しかし、評価体制を見直すだけでは達成には至りません。
経営トップからのメッセージを発信することや、社内で研修会を行うなど従業員一人ひとりの意識を高めていくことが重要になるでしょう。
まとめ
会社でSDGsの取り組みを行うことで、世界中で抱える問題解決に貢献できるだけではなく自社の企業価値を高めることにも繋がります。まずはSDGsへの理解を深め、課題を見つけるなど自社に合った進め方でSDGsに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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