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ハサミは切るものに応じて使い分けたほうが効率的であり、ハサミの切れ味が最大限発揮されることをご存知でしょうか。
このコラムではハサミの種類をはじめ、効果的に活用するための選び方を用途別、刃の形、素材、大きさといったさまざまな軸で解説します。正しいハサミの選び方や使い方について理解を深めましょう。
ハサミの種類
ハサミは用途に応じて使い分けることで、本来の性能を発揮できます。種類を大きく分けると「万能型」と「用途型」があります。
「万能型」と「用途型」
「万能型」は、1本で多種多様なものに対応できるハサミです。
紙や布などの裁断をはじめ、時には植物の剪定や食材に至るまで、幅広いものに使用できます。使い勝手の良さから、多くの方に馴染みのあるハサミです。
一方、「用途型」は一つの用途のために作られた専用のハサミです。例えば、粘着性があって切りづらいガムテープや硬い金属など、特定のものを切ることに特化しています。
効果的なハサミの選び方
万能型のハサミはステンレス製で、フッ素やチタン等でコーティングされたものが一般的です。切るもの(用途)によっては、使いにくい場合もあります。そのため、ハサミは用途に応じて使い分けるようにしましょう。
用途で選ぶ
ハサミは、切る対象、ものの厚さや大きさ、素材の特性に応じて、さまざまな種類があります。
紙を切る
ハサミの使用用途として一番多いのが「紙を切る」ことです。しかし、一口に紙と言っても、一般的なコピー用紙から和紙のような厚手のものまであります。
紙用としてつくられたハサミは、安定した裁断能力を持っていたり、切った際の紙くずを劇的に少なくできたりと、ストレスなく切ることが可能です。
布を切る
布を裁断するためにつくられた「裁ちばさみ」は、布を切ることに特化しています。
紙用ハサミとの大きな違いは、刃の厚さです。紙と比較すると柔らかい布を切るため、一般的なハサミと比較して刃先が薄く鋭い点が特徴です。また、指を通す丸柄・平柄が大きく設けられています。
裁ちばさみは力の入れ方や切り方が異なります。手に馴染みやすく、痛くなりにくい工夫をこらしたハサミもあるので、選ぶ際は留意すると良いでしょう。
なお、布用ハサミは布以外のものを切ってしまうと刃先が痛んでしまい、切れ味が悪くなることがあるため注意が必要です。
食材を切る
肉や魚といった弾力性のあるものや、硬い食材でも切りやすい食材用のハサミは、キッチンに1本は置いておきたいものです。
実際、衛生面の懸念から紙用などとは別に、食材用のハサミは別に持っているという方も多いでしょう。
食材用で重要なのは、切れ味はもちろん、取り扱いやすいという点です。軽量で長時間使っていても疲れない、持ち手がゴムなどで保護されており、手が痛くなりづらいものなどを選ばれると良いでしょう。
植物を切る
植物の剪定や伐採などの園芸用のハサミは、持ちやすさが重要です。植物の手入れをする際に、大きすぎても小さすぎても扱いづらくなるため、自分の手のひらに乗せた際、指先から手首まであるものを選択されると良いでしょう。
髪を切る
髪用ハサミは刃が硬く、鋭利にできています。人間の髪の毛は硬く、紙用の柔らかいハサミを使ってしまうと髪が痛むこともあるため、購入を検討されている方は「散髪ハサミ」を検討されることをお薦めします。
髪の毛の長さを短くするためのベーシックなハサミの他、髪の量を減らすことが可能なすきバサミもありますので、用途に応じて選ぶと良いでしょう。
刃の形で選ぶ
一般的にハサミは切る対象で選ぶことが多いですが、ハサミのベストな切れ味を引き出すにあたって、ハサミの刃の形で選ぶ方法もあります。具体的にどんな形があるのか、ご紹介しましょう。
ストレート刃
先端に向かって真っ直ぐな刃の形のものをストレート刃と呼びます。一般的なハサミは、このストレート刃が多く、薄手の紙を裁断することに向いています。
刃が閉じると、刃の角度が小さくなることで切る力が弱くなるため、厚みのあるものは力が必要となり、根本の方が切る力が強いのが特徴です。小回りが効くため、切り絵などの細工を得意とします。
刃先がとがっているため、先端が保護されたキャップ付きを選ぶと良いでしょう。
ベルヌーイカーブ刃
切りたいものを挟むのに最適な角度は30度と言われていますが、これを実現しているのがベルヌーイカーブ刃のハサミです。
根本から刃先にかけて緩やかなカーブを描いており、どこで切っても角度30度を実現できます。
刃先の方で切った際も手に負担がかからないため、薄手の紙から段ボールに至るまで幅広いアイテムを切ることに向いています。素材を選ばずに切れるハサミが良いという方におすすめのハサミです。
ハイブリッドアーチ刃
刃の幅が広く、中央部分から先端にかけて曲線を描いたような形状がハイブリッドアーチ刃です。
先端部で切っても切る際の角度が小さくならないため、どこで切っても力がかからないのが特徴です。
段ボールや牛乳パック、革のベルトといった厚手のものも切り始めから最後まで楽に切ることができるため、普段から厚みのあるものを切る機会が多い方にお薦めです。手や腕への負荷を軽減できます。
プルーナーアール刃
二枚に重なった刃の形や刃渡りが異なるのが、プルーナーアール刃です。1枚はカーブ、1枚は真っ直ぐに造られており、切る刃と受け刃の役割が分かれている点が特徴です。
押して切る「押し切り」を採用するハサミが一般的ですが、プルーナーアール刃は手前に引いて斜めに動かしながら切る「引き切り」を採用しています。
そのため、力が必要な厚みのある紙はもちろん、フッ素加工やチタンコーティングを採用しているハサミであれば、粘着テープなどの通常切りにくい素材も切ることが可能です。
オーバルアール刃
オーバルとは英語で楕円を意味する言葉ですが、オーバルアール刃は刃先が緩やかに楕円形になっているのが特徴です。新開発された形状で、発売元も限られています。
この楕円によって、切るものを刃先に向かって押し出す力が大変強く、従来のハサミと比較して約4倍もの切れ味を発揮します。そのため、厚みのあるものを切る際もストレスなく切れます。
素材で選ぶ
ハサミの切れ味を最大限発揮するだけでなく、使い手がストレスなく使用できるようにグリップ部分や切り刃の素材はさまざまに使い分けられています。ここでは、各素材別の特徴をご紹介します。
フッ素コーティング
フッ素と聞くとフライパンを思い出す方も多いかと思います。フッ素樹脂は金属をコーティングすることで、ねばねばとした粘着性の高いものにくっつかない性質に優れています。
そのため、ガムテープ等の粘着テープを切ってもべたつかず、ストレスなく切ることができます。
また、ハサミに汚れがつくことも防いでくれるので、メンテナンスという観点でも使いやすいでしょう。
チタンコーティング
チタンコーティング(加工)は、ステンレス製が多いハサミの強度を高めるために行われます。高硬度チタニウムという成分をコーティングすることで、ハサミ自体の切れ味や強度を高めることができます。
特に、切れ味や耐久性を長く継続することに優れており、力が弱い人でも高い切れ味を実感できるでしょう。
長くハサミを使用したいという方は、チタンコーティングが施されたものを選ぶことをお薦めします。
大きさで選ぶ
ハサミを選ぶにあたって、軽さや取り扱いやすさという点にも注目していきます。最近は、力の弱い子供用や外出先へ持ち運ぶことができるサイズ感のものも登場しているので、紹介します。
子供用ハサミ
ハサミを選ぶ際は使い手を軸に選ぶというのも一つです。
子供用ハサミは、子供が安全に使えるようハサミ自体の軽さやサイズも小さく造られています。グリップから刃先にいたるまで全体をプラスチックで覆っていたり、刃先自体を丸く加工していたりと、安全に子供が使用できるよう工夫されています。
また、大きな力をかけずに切ることができるようベルヌーイカーブ刃を採用しているものもあります。学校用、練習用など目的に応じて選ぶと良いでしょう。
携帯型ハサミ
「洋服のタグを切ってすぐ使いたい」「袋を開けたい」など、外出先でちょっとハサミが欲しい時にお薦めなのが、携帯型のハサミです。
最近はコンパクトかつ軽量なハサミが登場しており、ポーチやバッグにしのばせておいて、いざという時に活用できるデザイン・サイズなので、必要な時に素早く取り出せます。中でもペン型は、バッグ内のポケットに忍ばせておけるサイズなのでお薦めです。
ハサミの正しい使い方
利き手や用途などをふまえ、ハサミを最適に使うことで、ハサミが持つ最大限の切れ味を発揮できます。それではどのような使い方が最適なのでしょうか。一つずつご紹介します。
用途に合ったハサミを使う
最近は100円ショップなどで万能型の安いハサミが売られているため、1本のハサミを使いまわしているという方も多いかと思いますが、用途に応じて使い分けることによって、ハサミの切れ味を最大限発揮し、長く使えます。
例えば、段ボールやペットボトルなど厚みのあるものは刃の太いハサミを、布のように柔らかいものは裁ちばさみを使うなど、用途に応じて使い分けると良いでしょう。
切れ味の劣化を防げたり、手の負荷を軽減したりなどメリットが多くあります。
切れ味の良いハサミを使う
ハサミの切れ味は、切り口のきれいさを保つだけでなく、切る際のストレスといった使い勝手を向上させることにも繋がります。実際、錆びて切れ味の悪いハサミを使っていると、必要以上に力が必要になることもあります。
また、髪の毛をカットするための散髪ハサミの切れ味は、髪の毛に対する影響に関わります。刃先がこぼれていると、髪の毛のキューティクルを壊し、枝毛等にもつながるので、要注意です。
ハサミの切れ味は、用途に合わせてハサミを使い分けたり、汚れを随時取ったりすることで持続できます。
詳しいハサミの研ぎ方・切れ味の復活法が知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
ハサミの切れ味が悪くなったら?ハサミの研ぎ方と切れ味を復活させる方法を紹介
利き手用のハサミを使う
左利きの方であれば、右利き用のものを使うことも少なくないかと思いますが、不便さを感じる方も多いでしょう。ハサミにも利き手専用のものがありますので、利き手用のハサミを使うことをお薦めします。
利き手専用のハサミは、見た目だけでなく、持った際の使い心地や力の加わり方が異なります。
右利き用は内側・左方向へ、左利き用は外側・右方向に力が入るようになっており、切れ味よく効率的に切れる構造となっています。ぜひ、ご自身の利き手に応じて選んでください。
人指し指を輪の外に出してハサミを持つ
ハサミの正しい持ち方をご存知でしょうか。
ハサミの持ち手(柄)部分にある輪には、親指と中指を輪に通し、人差し指は外側に出して添えるように持つのがお薦めです。このように正しい形で持つことでハサミが安定し、細かい作業を行うことができます。
なお、髪の毛をカットするためのハサミについては、親指と薬指を輪に通し、親指だけで動かすという使い方をします。
このような用途に応じた使い方を知り、ハサミの切れ味を最大限活かしましょう。
硬いものは刃の奥の方を使って切る
段ボールなどの厚みがあるものを切る際は、ハサミの刃の奥を使って切るのが正しい方法です。刃が入る角度が正しくなり、力を入れずにハサミの切れ味を発揮できます。
一方、薄い紙を切るような場合は、刃先をうまく使うと良いでしょう。多くのハサミは刃先が細くできていますので、細かな工作などに最適です。このように切る対象物に応じて、ハサミの使い分けをするのがお薦めです。
まとめ
ハサミを1本で使いまわしていませんか。用途や使い心地、利き手といった点に考慮して選ぶと、実はハサミの切れ味を最大限発揮できるだけでなく、使い心地も向上できます。
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